完全ワイヤレスイヤホンって、どうやって通信方法しているの? 調べてみました。
おはようございます。
最近、完全ワイヤレスイヤホンを使っている人をよく見かけるようになりました。
ふと完全ワイヤレスイヤホンは、どうやって左右のイヤホンに音を送っているのか気になったので、調べてみました。
完全ワイヤレスイヤホン、持っていないんですけどね。
仮説
いきなりググる前に、せっかくなので完全ワイヤレスイヤホンの通信方法を妄想してみました。
完全ワイヤレスイヤホンは、Bluetoothで通信しているはず。
Bluetoothプロファイルは、A2DPやHFPあたりでしょう。
また通信的には、完全ワイヤレスイヤホンの通信ユニットは3つあるはずです。
- スマホ:音の送信元(マスター)
- 右イヤホン:音の受信先その1(スレーブ1)
- 左イヤホン:音の受信先その2(スレーブ2)
完全ワイヤレスイヤホンを実現する通信方法は、3パターンありそうです。
(ここではBluetoothやプロファイル上の制約は無視して考えています。)
パターン1:マルチキャスト方式
マルチキャスト方式の場合、下記のような通信フローになります。
- スマホから左右イヤホン用の音声データをまとめて送る
- 左右イヤホンが音声データを受信。
- 右イヤホンは右用の音声データ、左イヤホンは左用の音声データを再生
- 1に戻る
左右のイヤホンの同期は、音声データにタイムスタンプを入れれば同期がとれるはず。また音声の遅延は音声データを一度に送るので、他のパターンよりも少なくなりそう。
デメリットはマルチキャストなので、再送が厳しい。つまり、どちらかのイヤホンが音声データを取りこぼしたら、ブチブチ音が切れる。またこのやり方だと、最初にスマホは左右のイヤホンそれぞれとペアリングが必要ですね。
パターン2:時分割ユニキャスト方式
時分割ユニキャスト方式の場合、下記のような通信フローとなります。
- スマホから右イヤホンに、右イヤホン用の音声データを送る
- 右イヤホンが音声データを受信
- スマホから左イヤホンに、左イヤホン用の音声データを送る
- 左イヤホンが音声データを受信
- 左右イヤホンが音声データを再生
- 1に戻る
*右イヤホンと左イヤホンの順番は、どっちでも良いです。
このパターンも左右のイヤホンの同期は、音声データにタイムスタンプを入れれば同期がとれるはず。ユニキャストで送るので、イヤホンが音声データをとりこぼしても、再送で音切れはかなりカバーできそう。
デメリットは、左右イヤホンの音声データがそろってから再生のため、遅延がそこそこあるはず。このやり方でも、最初にスマホは左右のイヤホンそれぞれとペアリングが必要ですね。
パターン3:バケツリレー方式
バケツリレー方式の場合、下記のような通信フローとなります。
- スマホから右イヤホンに、左右イヤホン用の音声データを送る
- 右イヤホンが音声データを受信
- 右イヤホンから左イヤホンに、左イヤホン用のみの音声データを送る
- 左イヤホンが音声データを受信
- 左右イヤホンが音声データを再生
- 1に戻る
*右イヤホンと左イヤホンの順番は、どっちでも良いです。
このパターンも左右のイヤホンの同期は、音声データにタイムスタンプを入れれば同期がとれるはず。スマホ-右イヤホン間、右イヤホン-左イヤホン間の通信は1対1なので、データを取りこぼしても再送で、そこそこカバーできそうです。ただ右イヤホン-左イヤホン間には人の頭という障害物があります。どこまで再送でデータ取りこぼし(音切れ)がカバーできるかは、試してみないとわかりませんね。
また左右のイヤホン間の通信は、Bluetoothである必要はありません。よって最初のスマホとイヤホンとのペアリングは1回で済みます。
デメリットは、右イヤホンは最初は受信ユニットとして、その後送信ユニットとして動作するので、遅延が大きくなりそうです。
各方式のメリット・デメリット
各方式のメリット・デメリットを表にしてみました。
同期 | 音切れ | 遅延 | ペアリング | |
マルチキャスト方式 | 可能 | 弱い | 小 | 2回 |
時分割ユニキャスト方式 | 可能 | 強い | 大 | 2回 |
バケツリレー方式 | 可能 | 不明 | 大 | 1回 |
ここで、Bluetooth側の仕様を確認したところ、A2DP、HFPは同時に複数のイヤホン/スピーカーへの再生はサポートしていないようです。
結局メリット・デメリット関係なく、現状Bluetoothのプロファイルとの互換性を考えるとバケツリレー方式しか実現方式はなさそうです。
完全ワイヤレスイヤホンの通信方法
妄想はここまでにして、ググってみたところ下記のようなページを見つけました。
通信の流れは、このようになります。
- スマホから右or左イヤホンにデータ通信
- 右or左イヤホンから、もう片方のイヤホンにデータ通信
つまりバケツリレー方式で通信しているようです。また左右イヤホン間の通信には、NFMIという技術を使って音切れを防いでいるようでした。
またQualcommが「TWS plus」という新方式を提案しているようです。
説明を読んだ感じ、時分割ユニキャスト方式のようです。
Bluetoothのプロファイルとの互換性は、Qualcommチップ側で吸収する感じでしょうか? 実際の対応製品が出てこないと、こちらはわかりませんね。
以上が、完全ワイヤレスイヤホンの通信方法でした。
他にも調べたところ、者によっては音の遅延はそれなりに発生するようですね。音楽を聞くだけならば問題ないですが、動画やゲームだと気になるレベルの物もあるようです。
どちらにしろ従来のBluetoothイヤホンから、左右のイヤホンのケーブルがなくすにあたり、中身は色々と工夫しているようです。
調べていくうちに、完全ワイヤレスイヤホン欲しくなってきました。